ポルノ被害相談
わたしたちの日常には、「性」を商品として扱うモノがあふれかえっています。特に、女性は男性に比べ、そのように扱われがちです。 ここでは、ポルノを性表現一般のことではなく、「女性、子ども(時に男性)を見世物的に扱う、また虐待的に扱う性的描写物(実写およ非実写)」を指す言葉とし、その制作から始まって、流通、消費、社会的流布などを通じて発生している性被害を「ポルノ被害」と呼びます。
商業ポルノとして流通する性的描写物の中には、カップル間で撮られたものや、盗撮や強姦などの性被害で撮られるものも含まれています。
SEAN相談事業について
SEANは1997年保育サポートグループとして結成し、2001年に法人格を取得した非営利市民団体です。
一人ひとりが自ら行動を起こすことでエンパワメントし、つながることでさらなる行動を起こし、「だれもがありのままの自分を生き、活かされる社会」の実現をめざし、多様な事業を展開しています。
1999年男女共同参画社会基本法が制定され、2001年にママを対象にした子育て支援に取り組みました。多くのママたちを苦しめているのが、当たり前のように存在するジェンダー(母親・父親)役割であることを知り、2002年より子どもを対象とした予防教育に取り組み始めました。
SEANでは、毎年、夏に開催されている国立女性教育会館(NWEC)フォーラムで事業報告のワークショップを開催しています。そのフォーラムでAPP研(ポルノ・売春問題研究会)のメンバーと出会い、ポルノ被害等について知ることとなりました。
その後、APP研のメンバーが関東を拠点に活動しているPAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)に所属し、2014年6月ごろから、実際に起こっているポルノ被害の相談をネットで呼びかけ始めました。その結果、相談件数は年々増え、関東圏以外からの相談について、地元で支援できる団体を模索し始めるなか、具体の面談を頼まれたことが、SEANがポルノ被害相談を始めるきっかけとなりました。
年々増える関西圏からの相談を請け負うために、組織体制の構築と人材育成もめざし、2015年度、公益財団熊西地域振興財団「非営利団体の活動を助成する事業」の交付を受け、相談ボランティア養成講座の開催とホームページの開設を行いました。
SEANでは、特に関西圏で起こっている10代~20代の若年層のポルノ被害の相談を受付けています。
「ポルノ被害」の5つの被害
- 制作被害
商業ポルノの制作過程で、契約や同意に反する撮影を強要される。撮影時に暴力を受ける。 裸体や性行為の盗撮や、性暴力を受けその被害を撮影される など - 流通被害
制作被害物のネットなどで流通される。カップル間で撮った性的画像を無断で流通される。 いやがらせや報復のために、性的な写真や合成写真を流通される など - 消費被害
家庭や職場などで意に反して、ポルノを見せられたり、ポルノ的な行為を強要される。 そのポルノの影響を受けたものから、痴漢やレイプなどの性暴力を受ける など - 社会的被害
公共の場で不意にポルノ的なもの目にし、苦痛を感じる。女性を性的消費物とする見方を一般化または環境化し、女性の尊厳を傷つけ、社会的地位を低下させる など - 存在被害
ポルノが他人に所持され、使用され続ける。また、脅迫やいやがらせに使用される など
まだまだ実態は明らかになっていませんが、最近では少しずつ被害の実態が報道されはじめ、裁判での判決につながったりと、ポルノ被害が人権侵害であるという認識が広がりつつあります。
SEANポルノ被害相談では、主に若年層を対象に商業ポルノ制作被害の相談について支援を行っていきます。その他の相談についても、多機関との連携で対応できることもありますので、まずはご相談ください。