高槻市の観光大使に「高槻やよい」が就任したという発表が、ちょうど先日ありました。

「高槻やよい」は、メディアミックス展開されているコンテンツ「アイドルマスター」シリーズに登場するキャラクターです。

 従前より「高槻」「やよい」という名前つながりで高槻市駅前のやよい軒にはファンが立ち寄るなどの縁があり、また安満遺跡公園は弥生時代の遺構にあるということも重なり、このたび正式にコラボレーションが実現したということです。今後いろいろなイベントもあることでしょう(※1)。

 SEANとしても地元の動向を見守っていきたいところですね。

  今日の女性アイドルものコンテンツは「アイドルマスター」に限らず「ラブライブ」「アイカツ」シリーズなどに共通して次のようなところがジェンダーの観点からも優れていると言えます(※2)。

1として自立した女性キャラの主体性が存分に発揮されている。

2として女性ホモソーシャルな親密圏が肯定的に描かれている。

3は女性によるリーダーシップのロールモデルを示すものとなっている。

4がありのままの受容と自己肯定の物語でもある。そして

5には男性ホモソーシャル公的領域の権力構造に対峙するストーリーをとることでジェンダー体制を撹乱するメッセージとして機能している。

 以上のような特徴を持つコンテンツが今日において幅広く人気というのは、因習的なジェンダーイメージが覆されていくうえで、確実に意義あることでしょう。むろん、女性アイドル表象が男性目線の性的消費を招くというような側面を問題視する意見も大切です。でもそれだけでアイドルを全否定するのは木を見て森を見ず。

 そして、です。「アイドル」が上記のような特性を有した、その嚆矢はと言えば、じつは1980年代に一世を風靡した「おニャン子クラブ」なのではないでしょうか? そのあたり詳述する紙幅はないですが、当時大学で社会学を専攻していた私がゼミの時間の議論などにおいておニャン子クラブブームについて熱く語っていた、そのモチベーションは今にして思うと上述のようなジェンダー観点からの画期的さを無意識のうちに感じ取っていたがゆえだったのです。

 しかし当時の私は男子学生。おニャン子クラブへの興味関心は、不真面目なものと受け取られてしまい、結局のところ卒業論文のテーマは他の無難なところへ落ち着けざるを得ませんでした。そこを顧みるに、このことは私の若き学徒時代に対する大きなルサンチマンでもあります。

うぅ?む、できることなら現在の視点を持ったままあの頃に戻り卒論を書き直してみたい!(※3)

そんなふうにも痛感される今日このごろです。(理事 佐倉智美)

 ※1:高槻観光協会公式サイトでも案内が出ています([たかつき観光大使に……アイドルマスター「高槻やよい」さんが就任] https://www.takatsuki-kankou.org/info/2216/ )

 ※2:詳細は拙ブログ・佐倉智美のジェンダーあるある研究ノートの「ラブライブとガルパンをフェミニズムが評価すべき5つの理由」も参照( https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2016-04-09_GP-LoLv-5 )

 ※3:ちなみに昨年に上梓した『性別解体新書』の内容は事実上の博士論文に相当すると言えるかも!? (佐倉智美『性別解体新書 ?身体、ジェンダー、好きの多様性』2021 現代書館/税別2500円 好評発売中!)

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