こどもとおとなのパートナーシップ誌 月刊「はらっぱ」no.249
(05.02. 5)
(社)子ども情報研究センター
ジェンダーフリー・プログラムを実施して
見えてきたものNPO法人SEAN 代表 遠矢 家永子
ジェンダーフリー教育の必要性 シーンでは、民間助成金の交付を受け2002年「ジェンダーと暴力」をテーマにジェンダーフリー教育プログラムを開発し、2004年度末まで(予定も含む)に保育所・幼稚園等11箇所16ワーク、中学校12校50クラス、高校6校22クラスで出前授業を実施してきました。
昨今、男女平等は進んでおり、ジェンダーフリー教育など必要ないといった声も聞かれます。
しかし、子どもたちの日常は、大人社会のジェンダーに大きく影響を受けており、ジェンダーによる不平等や様々な問題の再生産を食い止めるためにはジェンダーフリー教育は必要不可欠です。そして、それは多様性を共存する社会の実現にもつながるはずです。
2003年、アンケート結果から 中高校生840名を対象に実施したアンケートで、「『ジェンダー』という言葉を知っていますか?」という問いに、「知っている」と答えた生徒はたったの12%でした。
「知っている」と答えた場合でも、「意味はよく知らない」「男女間の感じ方の違い」など間違ったとらえ方もあり、私たちの知る限りではジェンダーフリー教育はほとんど実施されていないのが現状です。
ですから、「ジェンダーフリー」という言葉の解釈が歪曲され、あたかも「ジェンダーフリー教育」がすべての問題の根源であるかのように言われることには違和感を覚えます。
事後アンケートで、75%の生徒が日本社会の中に男女間の不平等があると答えました。学校内の話を抜粋すると、「学校の先生で、男に厳しく女に優しいこと」(中学・男)「男子の方が先生に優しくされている」(中学・女)といった複数の意見がありました。
授業の中でも、生徒自身に座る席を決めてもらうと、男女で見事に2つの集団に別れ、その間に大きな隔たりができ、グループワークであっても男女が一切会話をしない状況に出合うことがあります。
その状況は、性別を常に意識付け、性別でレッテルを貼り、「そこの男子(女子)」と一くくりに扱い、両者を比べる中で違う対応を行なっていることから生じている問題であると推測できます。性別による対立など一切なく、自由に誰とでも話や作業ができるクラスもあることを思えば、教員がジェンダーの視点を持つことはとても重要なことです。
また、「『女』と『男』の期待されることの違いから、自分が否定されたような気持ちになることがありますか?」という質問に「ある」と答えた生徒の自由記述に、「やりたいことをやらせてくれない」(中学・女)、「手伝おうという気は自分の方にあるのに、男子に任され、結局自分は何もできなかった」(高校・女)、「男は肉体的な仕事を任せられる」(中学・男)といった、性別による扱いの違いへの不満が見られました。
もちろん、感じ方には個人差があり「その方が楽でいい」ととらえている生徒もいますが、「できる」と期待してもらうことが大事で、そういった関わりがあってこそ、生徒の可能性は拡大していくのではないでしょうか。
男女間の不平等としては、「制服」「出席番号が男女別であり、男子が先」「いろいろと(性別によって)比較される」「(女子は)スポーツが制限される」といった自由記述がありました。
教職員アンケートから 「男女には、生まれ持った生殖機能以外の性別による特性があると思いますか?」という質問で、教職員の3人に2人が「ある」と答えました。性別による特性の中に、「性格」「個性」「運動能力の平均値」「文化」などがあげられており、生物学的な性差であるセックスと、社会的・文化的な性差であるジェンダーの違いが曖昧になっていました。 75%の教員が、「ジェンダーについて研修を受けたことがある」と答えましたが、先に述べた通りまだまだ混乱も多く、子どもたちへの影響を考えると、更なる教員研修が望まれます。
「その特性を活かす教育や関わりが必要だと思いますか?」という問に「思う」と答えたのは女性教員38%・男性教員61%で、自由記述に「体育など一部ある」と答えた中学校教員がいました。
「今度生まれかわるなら、スポーツが思いっきりしたいから男がいい」「女の子が理系なのは変なのか?」と書いた女子高生の言葉を思い出し、意識して性別による固定概念をはずす努力の必要性を感じています。
「ジェンダーと暴力には関係があると思いますか?」との質問で「ある」と答えた教員は、研修前の54%から研修後は82%と大きく変動しました。
また、研修後は87%の教員が、ジェンダーフリー教育は学校で取り組まれるべきだと答え、その必要性は強く認識されました。
人として強く優しく生きる社会に少年院に収容される子どもの約9割が男子です。性別で生まれる差は、こんな数字にも表れます。
「暴力を受けた時に、相談したり逃げたりすることは弱いことだと思いますか?」との問いに、「人の助けを借りず自分で解決しなあかん」から弱いとする意見と、「人に相談するのは勇気がいるので逆に強い」とする男子中学生の意見がありました。この2人の「強さ」のとらえ方は、全く逆です。やり返すことを「強さ」だと考えるなかから、暴力の連鎖が生まれていきます。
「男は強く・女は優しく」というジェンダーを美徳とする考え方がありますが、その「強さ」「優しさ」が今まで定義されたことはありません。「女」「男」といった性別ありきではなく、「人」としての「強さ」「優しさ」を規範とし、支配や暴力以外の方法で「個」の違いを尊重し共存する社会を、ジェンダーフリー教育を通してこれからも子ども達とともに模索したいと思います。
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ジェンダーフリー教育プログラムやアンケート結果の報告書については、お問合せ下さい。
「非暴力教育の必要性と実践」
(05.10. 1)
非暴力教育の必要性と実践特定非営利活動法人シーン 代表 遠矢 家永子
DVで毎年、何人くらいの女性たちが、夫から殺されているかご存知でしょうか?実は、約130人の女性たちが、夫の暴力によって殺されているのです。また、毎年6,000人近くの子どもたちが少年院に収容されますが、その9割が少年で1割が少女たちです。そして、毎年自殺する人は30,000人を超えますが、その7割が男性で、ホームレスや過労死も圧倒的に男性たちの方が多いのです。なぜ、このように性別による偏りがあるのだと、あなたは思いますか?
子どもの頃からジェンダーによる性別役割において「男は強く、負けないこと」「女は優しく、従順でいること」が期待され、その価値観によって周囲から褒められたり、戒められたりしながら成長していく人がたくさんいます。
もし、「男の強さ」を「力」「支配」であると考えるなら、その延長線上で暴力を肯定したり、「負け組」として社会からはじき出されたりするかもしれません。
もし、「女の優しさ」を「我慢」「自己犠牲」であると考えると、理不尽なことがおこっても、はっきり「NO!」が言えなかったり、そのことで自己否定が生まれたり、弱い立場の子どもたちにその憤りをぶつけてしまうかもしれません。
上記に述べた暴力や抑圧に介入し、支援することに時間をかけることは大切なことですが、それらの問題の連鎖を断ち切り、回避するための子どもたちへの予防教育はとても重要かつ大切な取り組みであると実感しています。
すべての人に人権があります。性別役割に押し込められることなく、あなたはあなたのままでいいのだとその存在そのものを育ちの中で受容された子どもは、あるがままの他者への受容と信頼する力を育み、他者の人権を侵害することはしないでしょう。また、人は一人ひとり違う個性を持っています。その多様な違いを共存させるためには、性別規範ではなく、個の人権尊重を軸とした規範づくりが必要です。SEANが出前授業で実施しているSEA(Self-Empowerment Action)プログラムは、「男は強く、女は優しく」といった性別規範で男女間の主従関係を生み出すのではなく、「自他を尊重する、人としての強さ優しさ」による対等な関係を育てていく非暴力教育です。
「僕はこれまで『強さ』を勘違いしていました」これは、SEAプログラムを受けた中学1年生男子の感想です。「自分の思ったことをためていたらイライラする気持ちになるから、自分の気持ちははっきり言いたいです」これは小学校4年生女子の感想です。知ること、自分で考えることから、「人としての強さ優しさ」を身につけ、多様な個が非暴力に共存できるよう、子どもたちの内なる力にこれからも働きかけていきたいと思っています。プログラムに関するお申込み、お問合せは TEL/FAX072-684-8584 https://npo-sean.org NPO法人SEANまで。
岬だより「一人ひとりの個性が輝く男女共同参画社会をめざして!」
(05.11. 1)
岬町役場
9月7日(水)岬町立多奈川小学校2年生の
子どもたちへの授業を通して NPO法人SEAN(シーン) 代表 遠矢 家永子
前日には台風による休校を心配しましたが、当日強風が吹く中、子どもたちとの出会いを楽しみに多奈川小学校に向かいました。幸いにして子どもたちも元気に登校しており、2時限(45分×2)の出前授業を行うことができました。
「ジェンダーと暴力」をテーマに2002年SEANが開発したこの人権教育プログラムは、これまでは主に幼稚園・保育所・中学校・高校・民間等で実施してきましたが、今回小学生プログラムとして構成しなおし小学校で提供させていただける事になりました。
ジェンダーとは「生物学的な性差」とは違い、「社会的・文化的につくられる性差」のことです。例えば、「女の子は、家事が上手で可愛く従順であってほしい」、「男の子は、泣いたり弱音を吐いたりせず、たくましく強くあってほしい」など、何気ない日常の中には様々なジェンダーが存在しています。大人からの期待は、子どもたちの将来に大きな影響を与えています。「女のくせにだめだ」「男なのに不甲斐ない」などの、自己否定につながることもありますし、「やさしさ」「従順」を求められる女性性と、「強さ」「たくましさ」を求められる男性性との関係におのずと力関係が生じます。それらは、「いじめ」「ドメスティック・バイオレンス」「性暴力」「児童虐待」「中高年の男性の自殺」などの暴力を生み出していると考えられており、このプログラムが最終的にめざすものは、子どもたちを暴力の被害者にも加害者にもせず、ひとり一人が大切にされる社会です。
授業では、まず子どもたちに「たくましい」「おとなしい」や「怒る」「泣く」といった言葉は、「女の子」「男の子」に分けられるのかを考えてもらいました。それに当てはまらないお友だちをいじめたり、暴言をはいたりしないよう、「みんな違ってみんな良い」ということに気づいてもらうことから始めました。そして、性別によって将来の職業は制限されることがないことや、「悲しみ」や「怒り」の感情は蓋をしてしまうと暴力になって爆発してしまうことがあることなど、パネルシアターや寸劇、詩の朗読などで楽しく進めていきました。
授業の中で感じたことは、子どもたちにはすでにジェンダーによる思い込みがあるということでした。しかし、お友だちのいろいろな意見を聴くことから視野が広がり、笑顔を取り戻していく子どもたちから私たちも元気をもらうことができました。
最後にひとり一人の将来の夢について尋ねました。「漁師」「旅館」など、土地柄を感じさせる微笑ましい夢も聴かせてもらえ、うれしくなりました。この授業を通して、ひとり一人が胸を張ってありのままの自分を生き、お友だちも大事にできるきっかけになればと思っています。そして、私たち大人はあるがままの子どもたちを受け入れ、その個性を最大限に育んでいく教育を保障していくべきであると改めて実感し、少し穏やかになった海を見ながら高槻への帰途に着きました。
季刊「アジェンダ」第11号
「学校教育とジェンダー、ジェンダーフリー教育」
(05.12. 1)
アジェンダ・プロジェクト
学校教育とジェンダー、ジェンダーフリー教育特定非営利活動法人 シーン(SEAN)代表 遠矢 家永子
ジェンダーフリー教育の必要性 1997年、保育サポートグループとして、NPO法人SEANは結成しました。2001年、民間の助成金で子育て中の母親を対象とした期間限定の電話相談事業を行った際、ジェンダーが子育てにおける母親の孤立や協力者・情報の欠如を生み出している現状を目の当たりにしました。一度抱えたジェンダーによる罪悪感や不安感は、拭い去るのにとても時間を要すること、またその状態をさらに追い詰める二次被害の問題にも気づきました。
子育ての問題以外でも、ドメスティック・バイオレンスや性暴力、いじめ、中高年の男性の自殺に至るまで、様々な差別、自他への抑圧、暴力などの根っこにジェンダーの問題が存在することに気づく中で、その問題の再生産や連鎖を断ち切り、これ以上子どもたちを被害者にも加害者にもしないためのジェンダーフリー教育の必要性を強く認識しました。
2002年には別の民間助成金に申請を出し、「ジェンダーと暴力」をテーマとした中学生対象のジェンダーフリー教育を開発することとなりました。そして、これまでに(2005年11月現在)保育所・幼稚園10ヶ所13ワーク、小学校3校3クラス、中学校14校58クラス、高校7校29クラス、教育セミナー(教職員・一般)45講座を実績として請負ってきました。
学校の中のジェンダー
保育所・学校等で出会う子どもたちは、様々なジェンダーを抱えています。
「『男らしくしなさい』と言われる事についてどう思うか?」という問いかけに、「『女みたい』と言われるよりまし」と答えた中学生男子。「○○ちゃん」と呼ぶと、「女みたいな呼び方をするな!」と怒ってみせる幼稚園男児。「女々しい」とバカにされてしまわぬよう、弱音など吐かない男であると自分を奮い立たせていく中で、漠然とではあるものの女より男が上位に立つのだと、いわゆる「男尊女卑」の考えの根っこを心に刻んでしまうのではないだろうかと危惧します。
また、「男の子は泣いたらだめ!」と言い切る幼稚園女児。「こいつは女のくせに生意気」と、数人で1人の女子をいじめる小学生男子など、ありきたりな日常の中で、ジェンダーによる抑圧や力関係が隠れ見えます。
「そこの男子」「そこの女子」と性別で子どもたちを振り分けることで、役割を固定化し、男女間の境界線や対立を生み出してしまう教職員の子どもたちへの対応などが、目に止まることもあります。その延長線上で、男女間ではディスカッションやコミュニケーションが図れなくなっている場合もあり、子どもをとりまく大人たちへの教育セミナー実施の必要性も強く感じます。
「強い男子」「弱い女子」は認められ、「強い女子」「弱い男子」はなんとなく毛嫌いされ、はじき出されて、いじめに発展してしまうケースなども気になることの一つです。性役割による価値観で子どもたちを見た時に、おのずと「良い」「悪い」の評価が生まれ、その評価で自尊感情が傷つけられてしまう事や、そこから生まれる力関係を容認してしまう事、将来の選択肢を限定してしまう事への教育的対処は必要不可欠であるわけです。
子どもたちのセクシュアリティそれらの性役割による価値観は、あるがままの多様なセクシュアリティをも否定します。女性・男性に分類できないインターセックスという存在は、2000人に1人いると言われながら、あまり知らされていないのが現実です。異性愛以外は異質なものとして、いじめや攻撃の対象になってしまうことも多く、あるがままの自分のセクシュアリティを受け入れられずに悩んでいる子どもに出会う事もあります。身の回りの大人たちに知識や理解がなければ、二次被害が生じ、さらに抑圧してしまうことも避けられません。
また、セクシュアリティにおける男女間の力関係からは、性暴力やDVといった問題も生じており、強者の視点に立つジェンダー社会ではそれらの問題を犯罪としてとらえにくくし、そこでもまた二次被害が生じてしまいます。女性性の商品化、男性性の「精力絶倫」で多くの性体験を持つことが一人前の男であるとするステレオタイプ化が、思春期の子どもたちの意識の中にメディア等を通して刷り込まれていきます。「殴られても彼のことが好きだし、優しい時もあるから別れたくない」と、恋人間の支配とコントロールの関係が「愛」という名でカモフラージュされ、思春期の子どもたちのデートDVもまた、いま取り組まなければならない問題の一つです。
報告書「だれもがありのままのじぶんで」からSEANが2003年に中高生約840名に実施したジェンダーに関する意識調査からも、子どもたちを取り巻く、あるいは子どもたち自身のジェンダーの問題が表面化しました。
・90%近くの生徒たちが、「ジェンダー」という言葉や概念を学んでいない。・約30%の生徒がジェンダーにより、自分が否定されたような気持ちになることがあると自覚している。・女性のヌードや水着姿が雑誌や広告に、氾濫していることが嫌だと思っている生徒は65%、男女の内訳はほぼ50%ずつで、実は女性性の商品化を良しとしない男子はたくさん存在している。・もし、いじめられたら「やりかえす」「がまんする」と答えたのは男子の方が、「話し合う」「相談する」と答えたのは女子の方が多く、「男らしさ」の呪縛から男子は非暴力の解決方法を選びにくくなっている。
ジェンダーフリー教育の実際SEA(Self-Empowerment Action)プログラムはロールプレイなども交え、園児〜高校生まで年齢に応じて楽しく参加して学べるワークショップです。?セルフーエンパワメント(自ら1 歩踏み出し、本来ある力を引き出す)?多様性の尊重?非暴力の関係(社会)づくりの3つを柱とした、子どもたちを被害者にも加害者にもさせないための人権教育プログラムです。あまりにも日常化してしまっているジェンダーについて、まず知ること、自分で考えること、そして、ワークショップを通して子どもたち自身がセルフーエンパワメントできるよう、生まれもつ力を信じ働きかけていきます。「男は強く、女はやさしく」といったジェンダー規範は力関係を生み出し、その延長線上で支配や暴力が生み出されることがあります。性役割における「強さ」「優しさ」ではなく、尊厳を持った人としての「強さ」「やさしさ」を考える中で、誰もがありのままを大切にされ、活かされ、そして非暴力な関係で多様性を共存していける社会を子どもたちとともに学んでいきます。
子どもたちの感想から「私は『ありのままの自分』を出していないような気がするので、これからは『ありのままの自分』を出すようにします。あと、友だち、親、家族、自分を大切にしようと思いました。ジェンダーフリーのみなさんに教えてもらうまで、強さ優しさをかんちがいしてたけど、話を聞いて、よくわかったのでよかったです/中1」「授業を聞いて、強さはけんかに使わず人を守るために使います。人には優しくしたいです/中1」「ジェンダーにとらわれずジェンダーフリーのような考え方をすれば、自分のしたい事ができるからジェンダーにとらわれなければ良い。ぼくも、男らしいとか女らしいとかにこの授業をするまでジェンダーにとらわれていたんだとわかった。強さ優しさをもてば関係ないと思う。この授業でジェンダーや性同一性障害などいろいろなことが学べてとっても楽しかった/中1」「授業をしていていろいろとわかったことがたくさんありました。女の子と男の子はわたしは最初、違うと思っていたけど、今日話を聴いてたくましいことは女の子もあるし、男の子だっておとなしい人もいると考えてみると、みんな同じだなと思いました。泣くことも怒ることも色もみんな違うんだなと思いました。それにわたしは自分のことをはっきり言えないので困ったこともあったけど、授業を聞いて今日からはっきり、ともだちにいいたいと思いました/小4」「男の子も女の子もみんな一緒なんだなあと思いました。女の子だから優しい、男の子だからたくましいじゃなくて、女の子もたくましい、男の子も優しい、みんな一緒でいいと思いました。わたしは自分の思ったことをしっかりと相手に言いたいです。自分の思ったことをためといたらイライラする気持ちになるから思ったことははっきり言わなだめなんだと思いました。だからわたしは、自分の気持ちをはっきり言いたいです/小4」「NPOの授業で今まであまり気にしていなかったことが分かりました。そして、今まで僕は困ったことがあっても、友だちやお母さんやお父さんなどの家の人などに相談しなかったのでこれからは相談したいなと思いました/小4」
おわりに 少年院に収容される子どもは、9割が男子です。DV で毎年120〜30人の女性たちが夫から殺されています。「『男は男らしく。女は女らしく』教育すべきだ」と主張する人たちがいますが、問題なのはその性別役割における「らしさ」の定義なのではないでしょうか。性別ありきではなく、個ありきで、誰もが大切にされ、活かされる社会の実現に向かって、たくさんの子どもたちや大人たちと今後も出会っていきたいと思っています。SEAプログラムに関するお問合せは、SEAN事務局 (https://npo-sean.org) Tell/Fax072-684-8584まで。