(10.02.26)
小学校3年生の子どもたちへの出前授業でのこと。
授業の最後に子どもたち全員に一言ずつ、感じたこと・気づいたことを発表してもらう。
「発表してもらう順番をどうやって決めようかな?」
「あっちから!」
「ジャンケン!」
「多数決!!」
ほとんどがジャンケンで収まりがつく。
ところがあるクラスでは、「ジャンケンはダメ!多数決!!」の声が飛び交い、多数決で決めることになった。これまでにはなかったこの展開に、なんだか私も結果が楽しみになっていた。半分ずつになるんじゃないかとの私の予想はみごとに裏切られ、5人の子どもが自分に近い方から始めることを選び、発表する順番に決着がついた。子どもたちは偶発的に決まるジャンケンよりも、より多数の意見の反映である多数決の方が民主的だと思ったのかもしれない。
あるクラスでは、「多数決!」「ジャンケン!」「ここから!」様々な意見が飛び交い、なかなか決着がつかなかった。
「じゃぁ、かえっこさん(私のこと)が選んだ人に決めてもらうというのはどう?」
「それがいい!!」
「○○さん、決めてくれますか?」
私が指名した彼はしばらく考えた末、自分に遠い方を選んだのだが、文句を言う子どもは誰一人としていなかった。子どもたちは自分たちで決めた結果を、ちゃんと引き受けていく力を持っているんだと感心した。
最初に自分の番が回ってきたときに何も言えなかった子どもも、「他の人の番が全部終わってから、最後にもう一度聞くから考えておいてね」と言うと、次に番がまわって来た時にはちゃんと自分なりの考えを発表してくれる。
小学校での出前授業は本当に楽しく、たくさん元気をもらっているのは私の方かもしれないといつも思う。
ところで、多数決って本当に民主的なんだろうか?
合意する努力を両者がしないまま多数決で決められていく、この国の国会の状況や選挙の結果を見ながら疑問に思ってしまうのは私だけではないだろう。
考えの違いを明確にし、話し合いによる合意形成の心地好さを教育の場で、子どもたちにたくさん体験してもらいたいと思う今日この頃である。
2010.2.26 かえこ
★大阪府福祉基金社会起業家ファンド事業